満員電車内で痴漢の被害に遭う女性が後を絶たない。2015年の痴漢検挙件数は3200件(1)であり、平日1日あたり11件以上もの乗客が被害に遭っている計算になる。これは検挙件数であるので、実際はもっと多いだろう。こんな実態で安全安全を提供していると言えるのだろうか。
男女共同参画社会が兼ねてから叫ばれ、ようやく女性の就業率が上昇してきたというのに、痴漢事件が後を立たない現状が、女性の社会進出に水を差している。
現状、女性専用車があることにはあるが、最前部あるいは最後部に女性専用車が設定されることが多く(関西では中央に設定されることが多い)、しかも1両のみである。女性の社会進出が進んでいる現在では、利用客の男女比は1:1に漸近するはずであり、女性専用車を各編成1両しか設定しないのはナンセンスではないか。
また、関東と関西では、関東の方が女性専用車の創設に関して後ろ向きであるとの記事もある(2)。関東の鉄道会社は相互乗り入れしている会社が多く、その調整が難しいからというのが理由らしいが、そんなのは言い訳でしかない。
通勤時間帯は各編成とも、偶数号車あるいは奇数号車を女性専用車として設定するといった大胆な変革を推めなければいけない。
有識者らでつくる警視庁の痴漢防止に関する研究会が2011年3月10日に発表した「電車内の痴漢防止に向けた報告書」でも、女性専用車両の拡大を提言している(3), (4)。
本来なら、女性専用車を設定せずともお客さまが安心してご利用していただけるようなモラルの高い社会であることが一番であり、女性専用車の設定は本質的な問題解決策にはならないかもしれない。
しかし、冒頭述べたように痴漢事件の多さは社会問題であり、即急にこれらの問題を解決し、全てのお客さまが安心してご利用いただくためには、上記で述べたような対策をスピード感を持って講じる義務が、鉄道会社にはあると思っている。
参考文献
(1) 日本経済新聞 痴漢謙虚年3200件
(2) NIKKEI STYLE 女性専用車両、関西ではなぜ終日運行するのか?
(3) 日本経済新聞 電車内の痴漢撲滅へ 警察庁の研究会が報告書
(4) 警視庁 「電車内の痴漢防止に向けた取組みに関する報告書」